IPOの情報を見ていると、価格の名前がいくつも出てきます。仮条件、公開価格、初値。さらに想定価格。どれがいくらで、自分はどの値段で買うのか、わからなくなりますよね。

整理のコツは、時間の順に並べることです。上場が近づくにつれて、価格は「目安」から「確定」へ、そして「市場の値段」へと変わっていきます。

あなたが買うのは公開価格、利益の目安になるのは初値との差。まずはこの2つを押さえておけば十分です。

価格は「想定価格→仮条件→公開価格→初値」の順に決まる

ある銘柄を例に、4つの価格を並べてみます(数字は一例です)。

  • 想定価格:会社が最初に示す目安(例:1,350円)
  • 仮条件:公開価格の目安になる幅(例:1,400〜1,500円)
  • 公開価格:あなたが実際に買う値段(例:1,500円)
  • 初値:上場日の市場で最初につく値段(例:2,610円)

想定価格は、上場承認のときに出る書類(有価証券届出書)に載る目安の価格です。

ここから仮条件、公開価格と、段階を踏んで確定していきます。初値だけは性質が違い、上場日当日の市場での取引によって決まります。

仮条件と公開価格は、需要を見ながら決まる

仮条件は、主幹事の証券会社が機関投資家(年金や投資信託などを運用するプロの投資家)の意見を聞いたうえで、会社と相談して決めます。

想定価格より仮条件が上に設定されれば、プロの評価が高めだった表れと読むこともできます。ただし、それで初値が約束されるわけではありません。

BBの申込はこの仮条件をもとに受け付け、その結果を見て公開価格が決まります。人気が集まれば上限で決まりやすく、需要が弱ければ下のほうで決まることもあります。

よくある場面 上場承認のニュースで想定価格1,350円を見て、13万5,000円をきっちり入金。ところが、後から発表された仮条件は1,400〜1,500円。BB初日の朝に残高不足に気づき、あわてて追加で入金することになる。想定価格だけで入金額を決めると、こうしたずれが起きます。

入金は、仮条件が出てからにするか、少し余裕を持たせておくと安心です。

初値は市場で決まる。上場日に値段がつかないことも

上場日の朝、取引所で売買の注文がぶつかり合い、最初に成立した価格が初値になります。公開価格で株を手に入れた人のうち、初値で売った人の利益は「初値−公開価格」です。

例の銘柄なら、初値2,610円−公開価格1,500円=1,110円。100株で11万1,000円の値上がり益になります(税金を差し引く前の金額)。

逆に、初値が公開価格を下回ることもあります。これを「公募割れ」といい、公開価格1,500円で初値1,350円なら、100株で1万5,000円の損です。

人気がありすぎると、買い注文に対して売り注文が足りず、上場日に初値がつかないことがあります。

これを「初値持ち越し」と呼び、翌営業日以降に改めて初値が決まります。

3つの価格の動きから、銘柄の人気を読む

価格の名前がわかると、数字の並びから銘柄の様子が見えてきます。

  • 想定価格と仮条件:仮条件の幅が想定価格より上なら、プロの投資家の評価が高めだったと考えられます。
  • 仮条件と公開価格:公開価格が上限で決まれば、BBに申込が多く集まったということです。
  • 公開価格と初値:公開価格に対してどれだけ値上がりしたかがわかります。

もっとも、どれも結果を約束するものではありません。仮条件が上振れした銘柄でも、相場全体が崩れれば初値は伸びないことがあります。

数字は、判断材料のひとつとして見るのがちょうどいい距離感です。

受付中の銘柄をチェックしてみよう

用語の意味がわかったら、実際の銘柄で確認してみるのが一番の近道です。

  • IPOスケジュール一覧で受付中の銘柄を探す:まずはBB期間と主幹事証券を確認します。
  • 主幹事証券の画面で「仮条件」を見る:主幹事の銘柄ページを開き、発表された仮条件(例:1,400〜1,500円)をチェックします。
  • 「仮条件の上限 × 100株」の資金を用意する:上限が1,500円なら15万円を入金しておけば、資金不足で困る心配はありません。

まずはスケジュール一覧から気になる銘柄を選び、主幹事証券の受付画面をのぞいてみましょう。