「IPO、10社申し込んで全部落ちました」

IPOを始めた人の多くが、最初にこの壁にぶつかります。そもそも、当たる人なんて本当にいるのでしょうか。

確実に当たる方法は、残念ながらありません。ただ、確率を変える方法ならあります。

申込の回数を増やすこと、当選枠の多い証券会社を選ぶこと、落選を無駄にしない仕組みを使うこと。この3つを組み合わせれば、1年単位で見たときの結果は大きく変わります。

当選の確率は「証券会社の数×申込回数」で変わる

IPOの抽選は、証券会社ごとに別々に行われます。

A証券で落ちても、B証券では当たるかもしれない。だから、口座を複数持って同じ銘柄に申し込むのが、いちばん素直な方法です。

たとえば、1社あたりの当選確率が仮に「1%」だったとします。

  • 1社だけで申し込む:当選確率 1%
  • 5社から申し込む:当選確率 約5%(チャンスが5倍)

1銘柄だけだとまだ低く感じますが、これを1年間コツコツ続けた場合はどうでしょう。

年間30銘柄に5社ずつ申し込むと、年間で合計150回の抽選チャンスがあります。この場合、1年間で少なくとも1回当たる確率は「約78%」 まで跳ね上がります。

もちろん、実際の当選確率は銘柄によってまったく違いますし、倍率が公表されることもほとんどありません。

それでも、「1回の当たり外れ」ではなく「1年間の回数」で考えると、見え方が変わるはずです。

よくある場面 最初の3か月で申し込んだのは、ほんの4銘柄。全部落ちて「やっぱり運だな」とやめかける。次の3か月は口座を3つに増やし、BB開始の日に必ず申し込むと決めて続けたところ、20回目の申込で初めて「当選」の表示を見た。当選した人に話を聞くと、たいてい回数の話が出てきます。

主幹事と、自分に合う抽選ルールの証券会社を選ぶ

申込先を選ぶときに見るのは、2つです。

ひとつは、その銘柄でどれだけの株を扱っているか。主幹事は全体の株の大半を持つのが一般的で、当選の枠も集中します。

主幹事・幹事の違いは「主幹事・幹事の違い」でくわしく書いています。

もうひとつは、抽選のルールです。主に次のような違いがあり、どの方式を採用しているかは、証券会社ごとに決まっています。

  • 1人1票の平等抽選:資金が少なくても、条件は全員同じ
  • 申込株数に応じた抽選:多く申し込むほど当たりやすい
  • 資産額や取引実績による優遇:取引の多い人ほど有利

使えるお金が数十万円の会社員なら、1人1票の証券会社で数を打つほうが、条件の差を気にせずに済みます。

資金に余裕があるなら、申込株数が反映される証券会社を組み合わせる手もあります。

落選しても積み上がる仕組みを使う

証券会社の中には、落選が次の当選につながる仕組みを用意しているところがあります。

代表的なのが、SBI証券の「IPOチャレンジポイント」です。IPOに申し込んで落選すると、ポイントが1つ貯まります。

貯めたポイントを使って申し込むと、ポイントを多く使った人から順に当選する枠に参加できるしくみです。

すぐに結果は出ませんが、申込を続けるほど、落選そのものが次への足がかりになっていきます。

ほかにも、取引の状況に応じて抽選で優遇を受けられる証券会社があります。

また、当選者の辞退分が回ってくる「補欠当選」も、当選への小さな入り口です。

家族の口座と、人気が控えめな銘柄という選択肢

もうひとつの方法は、家族それぞれが自分の口座を持ち、それぞれが自分で申し込むことです。

抽選は口座ごとなので、家族4人がそれぞれ申し込めば、チャンスも4倍になります。

ただし、家族名義の口座を本人が操作して申し込む「借名取引」は禁止されています。申込は、必ず口座の名義人本人が行ってください。

人気が控えめな銘柄を狙う、という考え方もあります。売り出す株の多い大型の案件や、相場全体が冷えている時期の銘柄は、当選しやすいと言われます。

ただし、そうした銘柄は公募割れのリスクも高くなりがちです。

「当たりやすいから申し込む」ではなく、事業の内容を見たうえで、買いたいと思えるかどうかで決めましょう。

今月から「BBへの申込」を習慣にする

当選しやすさは、特別な裏技より、続けた回数でほぼ決まります。

  • 口座を2〜3社に増やす:主幹事になることが多い証券会社と、1人1票の抽選をする証券会社を組み合わせるのがおすすめです。
  • ipostのLINE通知を登録する:BBが始まった日の朝に通知が届くので、申込のし忘れを減らせます。
  • BB開始の日に申し込む、と決めておく:その日のうちに済ませれば、締切を気にする必要がなくなります。

落選が続いても、それは回数を積み上げている途中です。まずは今月の気になる銘柄から、忘れずに申し込んでみてください。